兄ちゃん(1)

昨年の夏に1度兄ちゃんが倒れた事がありました。
今は何事も無かったかの様に元気に暮らしていますが

あの時の衝撃は今も強く残っています。
その夏の日は家族で静岡の実家に帰省していました。
3人の娘たちにとって、優しく穏やかな兄ちゃんは大人気で

静岡にいく度にベタベタしています。
母も兄ちゃんも付き合ってくれて

お弁当持ちでプールに出かけて一日遊んでくれました。
私も兄ちゃんもやけどになるくらいに日焼けしました。
プールから戻ると、妻と娘たちと買い物に行きました。
スーパーから帰ると、母が泣きながら妻と話をしていました。
尋常でない雰囲気に母に事情を聴くと
「プールから戻ると突然気を失ったかの様に兄ちゃんが倒れた。

暫くして正気を取り戻したが、凄く怖かった。」

との事。
私も背筋が凍る程怖くなって、急いで2階に行き兄ちゃんに声をかけました。
「大丈夫だよ。」といつもの兄ちゃんの声。
安心出来る筈もなく、とにかく病院に行ってCTスキャン等の精密検査を受けてもらう事にしました。
結果としては脳の異常は無く、少しだけホッとしました。
その後色んな人に話を聴いてみましたが、原因は良く分かりませんでした。
しかし、高血圧の人はその関係で、夏場には激しい立ち眩みの様なことがあるようです。
親父を突然の事故で亡くした私としては

兄ちゃんの存在は精神的支柱として大きいものがあります。
命の儚さもしっているつもりではあっても

日々の安心感ですら、またその儚さの上に成立している事を思い知らされた時でした。