兄ちゃん(2)

おもいで 300×600mm
おもいで 300×600mm

思い返せば、私にとっての兄ちゃんは、ずっと

「少し前を走っている道標」のような存在感がありました。
昔から兄ちゃんは穏やかで優しく

親戚の子供達が集まれば人気者でした。
家族で外出したとき等
「ラーメン食べて帰ろう!」
と私がわがままに外食をねだると

父や母より先に兄ちゃんに
「家で食べれば良いの!」
としかられたものです。
学校給食のパンの余りをみんなから貰ってきて

それが翌朝の家の朝食になったりしていました。
その当時は結構助かったと母は云っていました。

私もまねをしようとしましたが、ぜんぜん続かずにだめでした。
また、遊び尽くしたとは思えないのですが

自分のおもちゃを
「くじ引きをするよ!」
と言って、結局全てのおもちゃをくれたりしました。
しかし、小学生の頃は毎日のように、取っ組み合いのけんかをしていました。
必ず私が負けて泣いていましたが、思い返せば叩かれたことはありませんでした。
必ず、投げられるか、押さえつけられるかだったと記憶しています。
父がボロボロのミニサイクルを私のために拾って来てくれるまて、兄ちゃんの自転車の後を走って一緒にプラモデル屋さんとか、釣りとか、遊びについていったのを覚えています。

父の存在も非常に大きかったのですが、家族の中で最も下の私はすべての家族の背中を見て育ってきたといえるのでしょう。

そのひとつひとつの思い出は記憶として薄まりながらデフォルメされて自分の支えになっていると感じています。