原点とは(1)

原点とは?(1)

 

三十年くらい前に、

自分の絵に対しての事で悩んでいたころ

石神井のアパートを火事にしてしまいました。

 

卒業式の次の日に上京してアニメーターとして5年くらいジタバタしたと思います。

小さい頃からの夢の再構築をしようと思い、

イラストの仕事を広告代理店に貰ったり

漫画の仕事をしたり。

 

生活の基礎は学習塾の数学、理科を教えていたので、今より余裕があったかも知れません。

そこには経済的な魅力だけでない「自己実現」の何たるかも感じていました。

 

当時、K談社の「MスターMガジン」という雑誌で賞をいただいて

さてこれからだなという時でもありました。

当時パチンコ漫画やその他のコミック等でも多少の仕事をしていたのですが

火事で原稿が焼けた事を編集に言うと

「どのくらいで再現できますか?」

といった返答を頂いたが

K談社だけは「いつでもいいよ。」との返答。

今となっては当時の自分の位置としては当たり前で、何しろ、たとえ連載を頂いても、

読者はがきの人気投票で、最下位を2週連続で取っってしまったら即打ち切りといった位

厳しい世界だったと思います。

 

火事で全てを失った私が絵に対しての夢をあきらめ

東京での生活にピリオドを打つつもりでいました。

しかし、自分の絵には自信だけはあって

「田舎に帰る前に後世の人間がびっくりするような絵を一枚描いて終わりにしよう。」

と考えました。

「それも油絵だな」

と大それたことを考えました。

中学生の頃親に買ってもらった油絵のセットとS界堂で30号のキャンバスを買ってきて

全精力をかけて描いてみました。

 

「思ったように描けない・・・。」

当たり前でした。

しかし

「これは自分が下手なのではなくて、技法を知らないだけだ。」

そう言い聞かせて

「技法を身につけなくては」

と本気で思うようになりました。

油絵の技法書を買い込んで勉強もしました。

本当に描きたい油絵を描ける技法を身につけるには?

自分のすごいと思う作家の技法を学ぶしかないと思いました。

 

つづく

 

 

 

ふたり M3
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